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はてなと任天堂は、ニンテンドーDSi向けのソフトウェアとこれを利用したウェブサービスについて協業することを発表した。

 任天堂は、24日に「うごくメモ帳」というソフトをDSiウェアのひとつとしてダウンロードを開始する。「うごくメモ帳」は、本体のタッチパネルやカメラを使った手書きメモソフトだが、ペイント系の基本機能のほか、簡単なアニメーションを作成することができるのが特徴だ。

 DSi上で作成したイラスト(アニメーション=「うごメモ」)をWi-Fi機能を経由して、はてなが運営する専用投稿サイト「うごメモはてな」にアップロードして、他のユーザーと共有することが可能だ。「うごメモはてな」は投稿された画像にコメントやマーキング(はてなスター)をつけることで、ソーシャルメディアとしての機能を持っている。閲覧は「うごメモシアター」というやはりはてなが運営するサイトから行う。このサイトはPCとDSiに対応している。「うごくメモ帳」ソフトは24日から正式ダウンロードだが、はてな側のサイトは18日よりプレオープンとなっている。

 「うごメモ」の作成は、タッチペンで1枚ずつイラストを描くわけだが、DSiのカメラで撮影した画像を貼り付けることもできる。SDカード経由で別の本体にコピーすることも可能だが、一般的なjpg画像やデータをSDカード経由で「うごメモ」に取り込むことはできない。BGMや効果音を載せる機能もある。これによってナレーションや効果音のついた「うごメモ」が作成できるが、DSiのマイクを使って録音するので、別の音源からのデータを貼り付けることはできない。音声トラックは4つある。

 投稿された「うごメモ」は、サイトで公開するだけでなく、他人の編集を許可することもできる。これによって漫画の続きを複数の人が作ったり、ニコニコ動画のようなコメントを画像に直接書き込むことも可能だ。コメントや人気投票(はてなスター)だけでなく、派生物によるソーシャルグラフ化も考えられている。ここで気になるのは、「うごメモ」の著作権だが、CCL(クリエイティブコモンズライセンス)のようなものではなく、「うごメモはてな」の利用規約で対応する。この利用規約ははてなのその他のサービスのものに準じるとし、基本的な著作権は作成したユーザーに帰属するそうだ。

 著作権に関連して違法コンテンツへの対応や不適切コンテンツへの対応がある。DSiは子供のユーザーも多いので対策は必須となる。これについては、投稿された「うごメモ」ごとに通報ボタンを設置し、はてなユーザーのチェック機能を最大限に利用するそうだ。投稿された「うごメモ」は、まず「うごメモはてな」に公開され、一定期間はてなユーザーのチェックにさらされる。通報など問題がなければ、「うごメモシアター」にも公開される。今回の両社の協業は、任天堂がDSiを使った面白いサービスを検討していた中で、ウェブサイトとの連携を考えていたところ、おなじ京都を拠点する企業として、任天堂からはてなに声をかけたとしているが、このとき、はてなユーザーによるコミュニティの機能やはてな自身が持つCGMサービスのノウハウも重要だったそうだ。

 「うごくメモ帳」ソフトのダウンロードは無料だ。任天堂によれば、このサービスでの直接のビジネスは考えていないという。あくまで、DSiというプラットフォームを使った新しいサービスを広げ、ユーザーの認知や評価を広げていくためのサービスだ。Wi-FiやウェブサービスによってDSiというハードウェアの面白さをみんなに認識してほしいというのが協業の目的としている。これに対してはてな側は、DSiとの連携によってこれまでとはちがった層へアピールし、会員の拡大や広告モデルによる収益を考えている。ただ、ユーザー属性を子供などにも広げるということで、本日からはてなのトップページのデザインを変更した。ブックマークなどにあまり子供向けでないコンテンツが表示されないように、かつ初心者ユーザーにもわかりやすいメニューアイコンなどを配置している。

 現状では、任天堂の製品PRとはてなのビジネス拡大という利害一致で実現した協業だが、今後は、任天堂としてはプラットフォームとしてのDSiの可能性が広がるかもしれない。明言はしなかったが「うごくメモ帳」ソフトを別のポータルサイトにも対応させたり、類似のウェブサービス連動ソフトを広く展開できるだろう。はてな側にしてみれば、ユーザー層の拡大だけでなく、「うごメモシアター」にPRチャネルやタイアップチャネルを設けるビジネスも考えられなくもない。

 しかし、この場合両社ともに注意しなければならないのは、違法・不適切投稿の管理だ。「うごメモ」のフォーマットは任天堂が開発した独自のもので、作成や加工もDSi上でなければできない。音源や画像など標準的なフォーマットのデータを取り込むこともできないようになっているので、まずこの部分で違法コピーによるコンテンツはかなり制御できそうだ。「はてな村」とも呼ばれる比較的リテラシーの高いユーザーによるチェックは、いかにも「はてな的」であり、高い効果が期待できそうだ。まずは、この形でサービスを開始し、問題点があれば、サービスの年齢制限、フィルタリング機能、監視体制なども含めて随時対応していく方針だ。なお、このサービスのサーバーはすべてはてな側が管理する。
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